Archerの春秋

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晋文の諱

 晉文公為踐土之盟,衛成公不在,夷叔,其母弟也,猶先蔡。其載書云:『王若曰,晉重、魯申、衛武、蔡甲午、鄭捷、齊潘、宋王臣、莒期。』藏在周府,可覆視也。(『春秋左氏傳』定公四年)

 晋の文公の名(諱)はよく知られているように「重耳」なのだが、『左伝』定公4年に引かれる踐土の盟の載書(盟書)では「晋重」と記載されている。他の諸侯と同じく国名+諱で称されているのであるが、「耳」の記載がないのだ。

 一方、文公と同じ二字の諱を持つ蔡君(荘公)と宋君(成公)はそれぞれ「蔡甲午」、「宋王臣」と省略されることなく諱が記されている。『左伝』編者(あるいは『左伝』の原史料)がどこからか踐土の盟の載書を入手したのか、あるいは二次的な史料からこの盟文を引っ張ってきたのか定かではないが、文公のみ諱が省略されてしまっているのである。

 これについて諸家が様々な説を立てているものの、どれも隔靴掻痒の感がある。管理人としても不明としか言えないのであるが、とりあえずここに記しておく。